メルマガに登録したはずなのに、いつまでも1通も届かない。そんな経験はないでしょうか。
こんにちは。AIでDXを加速する専門家、ばんのです。
メルマガの登録には、フォームを送信したあと、届いた確認メールのリンクをクリックしてもらう手順があります。このクリックがないと、登録は完了しません。私の管理画面には、そこで止まったままの人が並んでいました。本人は登録したつもりでいて、こちらからは何も送れない状態です。
放っておくと7日後に自動で無効になり、その人は静かに消えます。誰も悪くないのに、両方が損をしている状態です。
第4回は、登録されていたのに数えられていなかった話でした。第5回は逆で、登録が完了していない人たちの話です。この人たちにもう一度お知らせを送る仕組みを、AIに作らせました。
ただし、督促のメールは一歩間違えると迷惑行為になります。しかも難しかったのは送る処理ではなく、誰に、何日目に、何回まで送るかの線引きのほうでした。コードを書くのはAIで、書いたものを検査するのも別のAIです。私が引き受けたのは、この線引きを決める部分でした。
この記事を読むとわかること
- 確認メールをクリックしない人が一定数いるのは、なぜか
- 督促の回数と間隔を、こちらの都合で決めてはいけない理由
- AIから届く「この場合はどうしますか」に答えていくと、何が防げるのか
- AIに書かせた機能を、すぐには動かさないという選択
登録したつもりで、登録が終わっていない人がいる
管理画面で購読者の一覧を開くと、灰色で表示される行があります。名前もメールアドレスも入っているのに、配信先には入っていません。確認メールのリンクがクリックされていないからです。
「クリックが1回必要」なのには理由がある
この一手間は、面倒にするために置かれているわけではありません。もし省いてしまうと、他人のメールアドレスを勝手に入力して登録できることになります。身に覚えのないメールが届く仕組みを、自分で用意してしまうわけです。
クリックしてもらうのは、そのアドレスの持ち主が本人かどうかを確かめるためです。ここを通ってはじめて、登録が完了します。
クリックされない理由は、断られたからではない
クリックされない理由は、思っていたより多彩です。迷惑メールに振り分けられた。開いたが後回しにした。スマートフォンで登録して、確認メールはパソコンに届いた。単純に忘れた。どれも、登録をやめたわけではありません。
つまりこの人たちは、断った人ではなく、途中で止まっている人です。ここを一律に「縁がなかった」で処理してしまうのは、もったいない話です。
督促は、送る側の都合でしかない
では、何通送るか。ここで一度立ち止まりました。
送る側から見ると、何通でも送りたくなる
送る側から見れば、督促は多いほど有利に見えます。1通より2通、2通より3通のほうが、クリックしてもらえる確率は上がるはずです。そのため、この理屈だけで設計すると際限がなくなります。
一方、受け取る側から見ると話は逆です。クリックしなかったのは、忘れたか、気が変わったかのどちらかです。前者には助かる連絡でも、後者にはただの追いかけになります。しかも、こちらにはどちらなのか分かりません。
回数を先に決めた。2回です
分からない以上、気が変わった人に届いても失礼にならない範囲で止めるしかありません。そう考えて、日程より先に回数を決めました。2回です。というのも、3回目を送る条件を、私自身が思いつかなかったからです。
これは技術的な判断ではありません。何回までなら許容されるかは、コードを読んでも出てきませんし、AIに聞いても決まりません。この種の線引きは、自分で決めるしかない領域です。
3日目と5日目にした理由
回数の次は日程です。ここで基準にしたのは、既にあった「7日で自動的に無効になる」という決まりでした。
翌日ではなく3日目にした
翌日に送らなかったのは、まだ「忘れている」段階とは言えないからです。週末をまたぐことも考えると、3日目あたりが最初の頃合いに見えました。
2通目には期限を入れた
大事だったのは2通目の文面です。1通目と同じ「確認をお願いします」を繰り返すと、単なる督促の重ね打ちになります。そこで、2通目には期限を入れることにしました。文面を決めたのは私で、あと何日で無効になるかを計算して本文に埋める処理は、AIに書いてもらっています。
この違いは大きいと考えています。期限のない督促は、こちらの要求です。しかし、期限のある連絡は相手にとっての情報になります。同じ「クリックしてください」でも、受け取る側の意味が変わります。
そして7日目には何も送りません。「無効になりました」の通知は、相手にとって不要だからです。クリックしなかった人にとって、その事実は既に選択の結果です。
「送っていい人」を選ぶのが、いちばん難しかった
日程が決まれば、あとは対象者を選んで送るだけに見えました。ところが実際には、この選ぶ部分でAIから確認が返ってきました。作業が進むのは、その質問に私が答えてからです。
AIから「この場合はどうしますか」と聞かれた
最初の質問はこうでした。「送る相手を選んでから実際に送信するまでの短い間に、その人が確認リンクをクリックしていたら、どうしますか」。
言われるまで考えていませんでした。しかし、起きたときに何が困るかはすぐ分かります。登録を済ませた直後に「確認がまだ完了していません」というメールが届く状況です。
名簿を印刷してから順番に電話をかけるのと同じです。印刷したあとに取り消しの連絡が入っていれば、紙のほうは古いままになります。かける直前に最新の状態を見ておけば防げます。
直す場所は1か所ではなかった
私が「それは困るので防いでほしい」と答えると、AIは2か所を直してきました。送る直前にもう一度その人の状態を見る、というのが1つ。もう1つは、送信の記録を残す側にも同じ条件を持たせるというものです。
なぜ2か所なのかを聞くと、片方だけでは同じ間違いがまだ起きるという説明が返ってきました。理由に納得できたので、そのまま採用しています。
ここで大事なのは、私が思いつけなかった点をAIが先に挙げてきたことです。私の仕事は、その状況が自分の読者に起こりうるかを判断して、防ぐか防がないかを答えることでした。
有効にした初日に、2通まとめて届くところだった
次の質問は、機能を動かし始める瞬間についてでした。「この機能を有効にした時点で、登録から何日も経っている未確認の人がいます。その人たちには、どう送りますか」。これも、言われなければ気づかない種類のものです。
6日経っている人が、数分で2通受け取る
この機能を有効にした時点で、既に登録から6日経っている未確認の人がいます。その人は3日目の条件も5日目の条件も満たしています。そのため、1通目が出た直後に2通目が出ます。
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14:08「あと1日で無効になります」
▼
翌日「あと1日で無効になります」
受け取る側には、数分の間に督促が2通届くことになります。3日目と5日目に分けた意味が、まるごと消える動き方です。
止まって再開したときにも、同じことが起きる
同じことは、サーバーの都合でしばらく処理が止まり、そのあと再開したときにも起きます。1週間動いていなかった、というのは十分ありうる話です。
AIから返ってきた対処は、日数の条件とは別に「前に送ってから最低1日は空ける」という条件を足すことでした。何日目かという条件だけでは、時間が飛んだときに守れません。しかし、前回からの間隔という条件なら、飛んでも守られます。あわせて、既に7日を過ぎている人には督促を送らないようにしてあります。
どちらも、正常に動き続けている限りは起きません。だからこそ、第2回で書いた「壊れ方を先に聞く」という手順が要るわけです。
作ってすぐには、動かさなかった
検査を通して本番へ入れたあと、私はこの機能を有効にしませんでした。日数の設定を空のままにして、送信されない状態で反映しています。
入れることと、動かすことを別の日にした
理由は単純で、入れることと動かすことを同じ日にしたくなかったからです。
この機能は、有効にした瞬間に過去の未確認者へ一斉に送り出します。対象が3人なのか300人なのかで、意味がまったく違います。しかも仮に何かを取り違えていた場合、取り消しの効かない形で外へ出ていきます。
ですから、まず動かない状態で入れて、管理画面で対象者を実際に眺め、それから日数を入力してONにする、という順にしました。何かおかしければ、入力する手前で気づけます。
| やり方 | 間違えたときに起きること |
|---|---|
| 入れた瞬間から動く | 気づく前にメールが出ていく。取り消せない |
| 入れる/動かすを分ける | 対象を見てから決められる。間違いは手元で止まる |
外へ送り出す機能は、この分け方を標準にする
外に向かって何かを送り出す機能では、この分け方を標準にしようと思っています。画面の中で完結する機能なら、間違えても直せば済みます。しかし、メールは直せません。
よくある質問
督促の設計について、聞かれそうな点を4つまとめておきます。既製のサービスを使っている方にも、同じ判断が要る部分です。
Q1. 確認メールの手順自体をなくせば、話が早いのでは
登録は増えますが、おすすめしません。他人のアドレスを本人の同意なく登録できる状態になり、その名簿から送るメールは、受け取る側にとって身に覚えのないものになります。
迷惑メール扱いが増えると、正規の読者にも届きにくくなります。つまり、目先の登録数と引き換えに、配信そのものの土台を削ることになります。
Q2. 2回で足りますか。もっと送っている会社もありますが
足りているかは、正直まだ分かりません。仕組みは用意しましたが、送信はこれから動かすところです。数字を見るのはその後になります。
ただ、増やすかどうかはクリックされた率だけでは決めないつもりです。3通目でクリックしてくれた人が何人いたかと、3通目を不快に思った人が何人いたかを比べると、前者しか数字に出ません。出ない側があることを忘れなければ、そう簡単には増やせないはずです。
Q3. こうした細かい条件は、AIが勝手に付けてくれるのですか
半分はそうです。この記事に出てきた「送る直前にもう一度確かめる」「前回から1日空ける」「期限を過ぎた人には送らない」は、いずれもAI側から出てきたものです。私が思いついたものではありません。
ただし、出てくるのは質問の形です。「この場合はどうしますか」と聞かれて、私が「それは困る」と答えてはじめて対策が入ります。逆に言えば、答えさえすれば、細かい抜け道はAIのほうが先に見つけてくれます。
一方、何回までにするか、2通目に期限を書くか、7日目に通知を出さないか。ここは質問としても出てきませんでした。読者にどう受け取られるかの判断で、正解が決まっていない領域だからです。
Q4. 既製のメール配信サービスでも設定できますか
未確認者への再送機能を持つサービスは多いので、設定できることが多いはずです。管理画面で「未確認」「リマインド」といった項目を探してみてください。
確認しておくとよいのは、有効にした瞬間に過去の未確認者へ送られるのかどうかです。ここが分からないまま有効にすると、思っていたより広い範囲に届きます。分からなければ、対象者の件数を先に見てから決めるのが安全です。
ばんのの視点:督促の設計は、相手の時間で考える
この機能のためにAIが書いたコードは、それほど多くありません。時間がかかったのは、回数と間隔と文面をどうするかの部分でした。
決めるのは私、確かめるのはAI
今回の作業を振り返ると、役割がきれいに分かれています。読者にどう受け取られるかは私が決めます。決めたとおりに動くか、動かない場合に何が起きるかは、AIが先回りして聞いてきます。
この分担は、思っていたよりも安心できるものです。技術的な抜け道を全部自分で数え上げる必要はありません。聞かれたことに、読者の側から見て困るかどうかで答えていけば、対策のほうは形になって返ってきます。
追いかける側にも、止まっている側にも理由がある
この部分には、正解がありません。3日目が正しいという根拠はなく、2回が適切だという数字もありません。あるのは、受け取る側の時間の流れを想像して、こちらの都合をどこで止めるかという判断だけです。
仕事の場面でも同じ構図をよく見ます。返事のない見積もり、動きの止まった案件、稟議に上がったまま戻ってこない申請。追いかける側には、追いかける理由があります。しかし、追いかけられる側にも、止まっている理由があります。
今回決めたことは、そのまま持ち出せると思っています。回数を先に決めておくこと。2回目には期限のような相手にとっての情報を入れること。そして、こちらの都合で送る通知は出さないこと。
自分で仕組みを作っていると、こういう線引きを自分の言葉で決めることになります。既製のツールなら初期設定のまま使っていた場面です。決めるのは面倒ですが、決めた理由が残るぶん、後から見直せます。
次回予告
第6回は、送ったメールが宛先に届かなかったときの話です。
存在しないアドレス、廃止された社内メール、容量がいっぱいの受信箱。送信したはずのメールは、機械が書いた通知になって戻ってきます。これを放置すると、届かない宛先に送り続けることになり、配信全体の信用が落ちていきます。
では、戻ってきたら自動で配信を止めていいのか。一時的な不在で戻ってきただけの人まで止めてしまうと、こちらの取りこぼしになります。自動で判断させる部分と、人が決める部分をどこで分けたかをお話しします。
第6回は公開済みです。続けてどうぞ。